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2007 初冬 おふくろさん

◆「冬の間だけ、こっちで過ごさない」と語りかけたところ、「良いよ。おら、行っても良いよ」とお応えになるではありませんか。こっちに来ることをあんなに拒絶していた方が。ではでは、家内の賛同も得ていたことだしとお迎えに伺いました。

◆帰省するたびに清掃センター通いです。捨てるものが山のようにあるのですから。家の中がおふくろさんの衣類で溢れ返っているのです。「いつ着るの」と腹立たしく問いかけても、都合の良い難聴は,そんなときほど聞こえにくくなるようで「ああ、何言ってんだがわがんね」

◆こん畜生と思って居ると近所の人たちがやって来て、「どこの家でも年寄りの物持ちの良いのには困っているのし」「おらいの義母は、俺の衣服などは、俺が死んでから捨ててくれ」などの話で盛り上がるのです。「死んでからで良いんだから。捨てるのは」ああ、そうですか。朽ち果てそうな家でも、何も物を置かなければ、清々として、住みたくなる空間になるのに。

◆で、やってきたおふくろ様は、私の部屋を占拠。居間のテレビにかじりつきで動こうともしません。そこで、「おふくろの仕事と生活習慣にすること」と言う箇条書きの文を認め、上意であるぞ突きつけ、部屋に掲示したのでございます。なにせ、来春、郷土に戻らなければならないのですから、多少の厳しさは耐えてもらわなければなりません。

◆ですが、田舎の方々は、お袋様は、二度と再び戻っては来ない、もう一人暮らしは無理だと確信しているのです。その証拠に、冬季だけ息子のところに言ってくると言う話を聞きつけた在所の方々は、餞別を手に、見送りに来てくれたのです。

◆私があわてましたよ。ずっと私のところで生活させる気はありませんから。それなのに、みなさん、今生の別れと。いや、来春、必ずつれて帰りますからと大きな声で訴えてまいりました。ですが、10日ほど一緒に暮らして見ますと、この生みの親は見ているだけで涙が止まらないほど老いてしまっていたのです。その上での上意書なのでありますが。続きは徒然なるままに。

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